古くから私たちの暮らしに寄り添ってきた「布」。今も染め織りが盛んな沖縄では、「ぬぬ」と呼んでいます。この、伝統を受け継ぐ沖縄の「ぬぬ」のはぎれを使って、京都の老舗紙器メーカーによる箱の専門店「BOX&NEEDLE」と一緒に一点一点手貼りして箱をつくりました。先人たちの知恵がつまった「ぬぬ」は、沖縄で手織りされた貴重な布。トラディショナルでシックな色合いの上箱とカラフルな下箱とを組み合わせて、日々の暮らしの中で使って頂きやすく仕上げました。柄の見え方と色彩の組み合わせから感じる箱の表情は、世界にただひとつだけのもの。お気に入りのアクセサリーや、趣味の道具と材料、旅先でもらった素敵なカードや友人からのハガキ。あなたの暮らしで大切なものをそっと仕舞っていただけますように。「ぬぬはこ」を通して、沖縄の織り布のもつ手仕事のあたたかみを感じていただければ幸いです。
沖縄島の南部に位置する南風原町(はえばるちょう)は、琉球かすりや南風原花織などの織物がさかんな地域です。その「琉球かすり」は、600種をこえる図案をもとに柄の出方を計算して糸を括(くく)り、染め上げたあと機にかけ丁寧につくられた貴重な布です。たくさんの工房が集まる本部(もとぶ)という地域の「かすりの道」では、今も昔ながらの手仕事で糸や反物を広げる風景が広がっていて、シャーラトントンと機織りの音が聞こえてきます。
佐治 俊克 | TOSHIKATSU SAJI
Sazie Graphics
京都市生まれ。米国カリフォルニア州 Academy of Art University卒業後、東京の店舗プロデュース会社のチーフデザイナーとして、飲食店を中心に多岐にわたる業態のグラフィックデザインを担当。
2006年より沖縄にて、店舗等のロゴやパッケージデザイン、 工芸品の商品開発、ブランディング等を手がけている。
撮影:セソコ マサユキ、ララフィルム